アリ駆除薬剤の種類と効果的な使用方法

アリ退治/家のアリ駆除方法

アリは、繁殖力が強く、どこにでも巣を作るため、駆除は簡単ではありません。専門家の話によれば、根絶は不可能とも言われています。しかし、もともと殺虫 剤には弱いアリなので、いくつかの方法をうまく組み合わせることによって数を減らし、建物への侵入を防止することはできます。
 殺虫剤には、液体型、スプレー型、粉末型、えさ型などがあり、それぞれに特長があるので、用途に合わせて正しく使用しましょう。各タイプの殺虫剤を組み合わせることによって、アリを効果的に駆除することができます。
 ここでは、それぞれの殺虫剤の使用上のポイントを紹介します。
アリの防除は、早期発見・早期対応が最も重要です。
アリが侵入しているかは、壁沿い、木の幹、石の下などにいるアリを観察してください。わかりにくい場合は、砂糖などを置き、そこに集まってきたアリを観察して確認をしてください。

アリの生活サイクルを考えると、5 月下旬から6 月下旬が最も効果的な時期と考えられますので、可能な限りこの時期に防除を実施してください。この時期に実施できなかった場合や、2 回、3 回と防除を実施できる場合には、7月から9 月に実施してください。
また、実施の際には、晴天が続く週を選び、ベイト剤の設置は夕方の日が傾いた時間帯以降とするようにしてください

(1)えさ型殺虫剤

 えさ型殺虫剤は、働きアリがえさを巣に持ち帰り、仲間に分け与える習性を利用した殺虫剤です。殺虫成分入りのえさを巣の中の仲間へ分け与えることで、巣 全体に作用するので、アリの巣を丸ごと駆除したいときや大きく個体数を減らしたいときに効果的です。このえさ型タイプの殺虫剤を使用するときは、アリの巣の入り 口やアリの行列付近に、2〜3m間隔で充分な数を配置してください。

注意すること
 また、えさ型殺虫剤を使用するときは、アリの行列の上に直接置いたり、行列に手で触れたりするなど、アリを刺激しないように注意してください。誤ってア リを刺激すると、アリ同士で警戒信号をやりとりして、周りの仲間に危険を知らせるため、せっかく配置した殺虫剤の周りにアリが近づかなくなり、効果が無く なります。その場合は、殺虫剤を、別の場所へ配置しなおしてください。また、えさ型殺虫剤を、長期間同じ場所に放置しても、同様のことが起こりますので、 この場合にも、別の場所へ配置しなおして下さい。

効果の確認の方法
 えさ型殺虫剤は、目の前でアリが息絶えることがないので、今ひとつその効果について実感できませんが、殺虫剤ケース内へ働きアリが入ってきて、えさ溜ま りの部分に近づいていれば、持ち帰って分け与えた巣の中のアリへ確実に作用しますので、ケース内のえさが残っている間は効果が持続しています。ケース内の えさが無くなってもアリが減らないときは、まだ、巣の中に多くのアリが潜んでいる可能性が高いので、速やかに新しい殺虫剤を補充してください。

(えさ型殺虫剤)

ベイト剤の設置期間

ベイト剤は、1 週間から10 日間程度、設置しておいてください。ただし、チューブの中身が空になっている場合は、設置期間中であっても回収してください。
ベイト剤が残っているからと長い期間設置しても、ベイト剤が劣化するため、継続的な効果は期待できません。また、設置期間が長いと場所がわからなくなり、回収できずにごみになるおそれがあります。

ベイト剤の設置場所

一般の住宅では、1 戸あたり20 箇所にベイト剤を設置してください。また、道路や駐車場などの一般住宅以外のスペースは、概ね5 メートル程度の間隔を空けて設置してください。いずれも、2 種類のベイト剤を並べて設置してください。
原則、敷地の境界や建物周りに設置してください。アリを見かけるか否かにかかわらず、これらの場所に設置してください。
@行列や巣がよくある場所
A壁やブロック塀に沿って行列をつくります。
Bコンクリートの割れ目や植物の根元を巣として利用します。
C行列をつくり、植木や花壇の植物を登ります。
D植木鉢やプランターの下を巣として利用します。

【ベイト剤設置にあたってのポイント】

ベイト剤の設置場所は、原則、敷地の境界や建物の周りですが、普段からアリの行列などを見かける場所があれば、その付近にも設置するようにしてください。
行列や巣がよくある場所
@壁やブロック塀に沿って行列をつくります。
Aコンクリートの割れ目や植物の根元を巣として利用します。
B行列をつくり、植木や花壇の植物を登ります。
C植木鉢やプランターの下を巣として利用します。

(2)液体型殺虫剤

 液体型殺虫剤は、アリ同士でお互いに体を舐めあう習性(グルーミング)を利用した殺虫剤です。直接殺虫剤に触れたアリから、グルーミングによりそのアリ に触れた別のアリへ次々に殺虫成分が伝わり、巣の中に潜んだアリにまで連鎖的に作用し、2〜3日で巣全体に効果が行きわたります。そのため、見えない所に 潜んだアリの巣全体を駆除する時に効果的です。

液体タイプの殺虫剤を使用するとき

 このタイプの殺虫剤を使用するときは、アリの行列や巣穴を探して、直接、散布してください。アリが殺虫剤に触れることにより効果を発揮しますので、必ず アリ(または巣穴)目がけて散布してください。家の軒下などアリの通り道になりそうなところへあらかじめ散布しても全く効果はありませんので、注意してく ださい。
 また、殺虫剤を散布するときは、一箇所だけでなく、一度に敷地全体を処理するとより効果的に駆除できます。

(液体型殺虫剤)
“帯状に広がる行列”や“アリが出入りする隙間” などに、殺虫剤を使用しましょう。
特に、幼虫等(白っぽいつぶ)を運ぶアリがいる場合は、殺虫剤の使用が効果的であると考えられます。
地面に直接置かれた植木鉢の下などをよく巣として利用します。
植木鉢やプランターなどは棚に乗せ、直接地面に置かないように
しましょう。

(3)スプレー型殺虫剤

 スプレー型殺虫剤は、家壁やコンクリート壁の隙間などに潜んだアリの巣を駆除する時に効果的です。このタイプの殺虫剤を使用するときは、必ずロングノズ ルを取り付けて、隙間にしっかり差し込んで、奥深くまで十分な量の殺虫剤が行きわたるように、たっぷり吹き付けてください。
 スプレー型殺虫剤は、アリの行列に吹き付けてもその場かぎりになるので、あまり効果が上がらず意味がありません。アリの行列を入念に追いかけて、巣の位 置を突き止めた上で、ロングノズルを使って、直接、巣の中へ殺虫剤を吹き付けてください。巣の中には、外を歩いているアリの何十倍ものアリが隠れています ので、効果的に駆除できます。
 その他、スプレー型殺虫剤には、殺虫成分の他に、アリを寄せ付けない成分を含んだ物も多くあります。意外なことですが、窓枠やサッシなどには、アリが通 ることのできる隙間が十分に開いており、アリの侵入口となりがちです。そのような場所へ、あらかじめスプレー型殺虫剤を噴霧しておくと、ある程度、アリの 侵入を防止することができます。また、雨の日は、アリが屋内に侵入してくることが多くなりますので、雨が予想されるときは、事前に、このスプレー型殺虫剤 を、窓枠やサッシなどに噴霧しておくのも効果的です。

(スプレー型殺虫剤)

(4)粉末型殺虫剤

 粉末型殺虫剤は、建物の中へ侵入してこようとするアリをブロックしたいときに効果的です。このタイプの殺虫剤を使用するときは、建物の壁際へ、10cm 程度の幅で帯状・山盛りになるように、隙間なく散布してください。建物へバリアを張るようなイメージで、殺虫剤でぐるりと一周取り囲むように散布してくだ さい。
 また、粉末型殺虫剤を散布するときには、殺虫剤を惜しんで、撒きむらや隙間を作らないように注意してください。そのような場所があると、アリは、目ざと く見つけ出して、そこから侵入してしまうので、せっかく散布した殺虫剤の効果が半減します。十分な量の殺虫剤を、すばやく補充してください。また、殺虫剤 が雨に流されたり、風に飛ばされたりしたときも、すぐに十分な量の殺虫剤を補充して、アリの侵入口を作らないようにして、建物を殺虫剤で取り囲んだ状態を 保つように心がけてください。
 建物を殺虫剤で取り囲んだ状態を保っていても、建物の中にアリが進入してくることがあります。そのような時は、建物の周りに、他にアリが登ることの出来 るものがないかどうか、確認してみてください。建物と屋根伝いのガレージ、立てかけてある簾や二階からつながる雨どいなど、意外に多くあるはずですから、 そういった場所も取り囲むように殺虫剤を散布して下さい。

(粉末型殺虫剤)
ここで紹介した4タイプの殺虫剤は、単独でもそれなりに効果を発揮しますが、それぞれを組み合わせて、状況に応じて適切に使用することでより大きな効果を発揮します。ここで紹介した方法を粘り強く実践して、家庭内のアリ対策にお役立てください。
 なお、殺虫剤をご使用の際には、使用上の注意をよくお読みいただいた上で、使用方法・用量をよく守ってご使用ください。