アリの巣とアリの繁殖

繁殖

年に一度(一定の期間)、成熟した巣から羽を持つ処女女王アリと雄アリが多数飛び立ち、結婚飛行を行い空中で交尾をする。結婚飛行の時期は種類や地 域によって大きく異なり、春から秋にかけて行われる。空中で交尾した雄アリは力尽きて死ぬが、処女女王アリは貯精嚢に交尾した雄アリから得た一生分の精子 を貯蔵し、地上に降り立った後に自ら羽を落とし、巣穴を掘るか木の皮の隙間などに潜むなどして女王アリとしての最初の産卵行動に入る。

アリはハチと同様に、受精卵からは2倍体の雌が、未受精卵からは半数体の 雄が生まれる。ただし、アミメアリのように女王アリが存在しない種類では、働き蟻が産卵する卵であっても2倍体の働きアリが生まれる。女王アリは産卵時に 有精卵と無精卵を生み分けることができるといわれ、通常、初期のコロニーでは雄アリが生じることは少ない。有精卵はすべて雌性となり、与えられるえさや フェロモンなどによって働きアリになるか処女女王アリになるかが左右される。働きアリは通常、女王アリからのフェロモンによって、不妊の状態に制御されているが、女王アリが欠けた場合には卵巣が発達して産卵を開始することがある。この場合、残ったアリは働くことをやめるなどして不活性化していき、やがてその家族は滅んでしまう。

働きアリは女王の世話、卵と幼虫の世話、餌の運搬などの仕事を分担する。外で餌を探しているアリは大抵老齢のアリである。多くの働きアリは巣の中にとどまり、その中に食料を蓄えるなどの役目を果たす。